2020年03月24日

それらしい店の造り。

先日、あるラーメン屋に入った。長浜ラーメンのチェーン店のようである。私は、とんこつ味にそれほど執着がないので、他に店がないし、まあ、いいか、で入ったのである。味もあまり期待していなかった。

ところが、スープを口に入れて、驚くこととなる。かなり濃厚な味わいなのだが、とんこつ独特の臭みがまったくなく、まったりとした深いコクがある。どうして、いままでこの店に来なかったのか、と後悔したほどである。

さて、ここからが本題。どうして、私がいままでこの店に入らなかったのか? “とんこつ”だということももちろんあるが、「店の外観」で、なんとなく判断していたのである。

建物は、ベージュの土壁。屋根には、茅葺きのような演出。ところどころ竹をあしらっている。メニューを一品ずつ、演芸場のような大きな看板に記入し、壁に掛けている。この看板が無ければ、アジアン風のカフェのようである。

そう、ラーメン屋に見えないのである。看板でわかるのだが、「お洒落」を演出しすぎて、“いかにもチェーン店”であることがわかってしまうのである。個人がここまではやらないし、金が掛かるのでできない。

私は、何度もこの前を通っていたが、興味を持てなかった。“ラーメン屋らしくない”からである。

身近で流行っているラーメン屋を思い浮かべて欲しい。お洒落な店が浮かぶだろうか。中には例外もあるだろうが、そのほとんどは特に特徴も無い、普通の造りのはずである。

“汚ったねぇ〜”と思える店もあったりする。でも、流行っている。それは、“ラーメン屋らしさ”ということで、世の中に認知されているからである。どこからどう見てもラーメン屋。こういう店の方が、入りやすいのである。

“らしさ”の中で、差別化を図る必要がある。ブティックのような魚屋があったって、誰も入らない。カフェのようなそば屋。日本建築のケーキ屋。どう考えても、無理がある。

このラーメン屋は、内装もカフェ風である。美味しいのに、実にもったいない。場所も幹線沿いで、まわりに商業施設が集まり、駐車場も広く、入りやすい優れた立地である。

お昼時に入ったのだが、ほぼ満席だった。だが、味の良さから考えると、多少の行列ができていてもおかしくない店である。なのに、行列が無いのは、店の造りの問題だと言える。

ジワジワと客は増えるかもしれないが、顧客拡大のスピードが鈍いのは、大きな損失である。

あなたの店は“らしい”だろうか?

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2020年03月17日

「小京都」VS「小江戸」。集客力が高いのはどっち?

「全国京都会議」という組織をご存知だろうか。全国各地の「小京都」が集まり、「小京都」としてのあり方などを話し合う会合である。年会費も納める正式な組織である。

秋田県湯沢市、栃木県佐野市、岐阜県郡上市、兵庫県豊岡市など、全国で45以上の都市が加盟している。「以上」という曖昧な表現をしているのは、加盟や脱退による増減が繰り返されているからである。

この組織に加盟するには、条件がある。

「京都に似た自然景観・町並み・佇まい」
「京都と歴史的な繋がりがある」
「伝統的な産業・芸能がある」

この3つの内、どれか1つに合致しており、年1回の総会で承認された都市だけが、加盟を許されるのである。加盟しなければ、「小京都」を名乗れないというわけではないが、一応の“お墨つき”のようなものである。堂々と「小京都」を名乗り、「小京都」連合でPRすることもできる。

承認制や年会費を取るあたりに、やや権威主義を感じるが、それでも「小京都」を名乗ることに集客力があると見込んで、加盟するのだろう。女性は「京都」が好きである。

「小京都」と同じような表現で「小江戸」がある。ご存知のように、江戸に似た町並みに風情がある観光地に使われる名称である。

埼玉県川越市が代表的であり、栃木県栃木市、千葉県香取市、神奈川県厚木市、滋賀県彦根市などがある。「江戸との関わりが深い町」であったり、「江戸の風情を残す古い町並み」が、「小江戸」と呼ばれている。

この「小江戸」たちに、正式な組織はないものの、「小江戸サミット」という会議を開き、PR方法などを話し合っている。

「小京都」と「小江戸」。

どちらも観光地としてのPR活動にその名称を用いているが、はたして、その効果はあるのだろうか。

「小京都」と呼ばれるところが、いま現在賑わっているのかというと、疑問である。数十年前なら、若い女性が憧れを抱き、たくさん訪れているニュースも流れていた。だが、最近はほとんど聞かない。

いまだ賑わっているところもあるが、それは独自の観光資源を開発したことが功を奏しているだけで、「小京都」という名称は表に出ていない。

「小京都」という存在が、もう古くさくなってしまったのである。遠い京都に行くのが大変だった時代の代替地でしかないのである。交通機関の発達で、本家の京都が近くなり、すぐにでも行けるのである。

「小京都」は、不要な存在になってしまった。

一方、「小江戸」はどうか。いま、江戸時代の生活が注目され、町並みや食文化に興味を持つ人が増えている。

だが、本家の江戸は消滅している。よって、「小江戸」に足を運ぶ人が増えているのである。江戸を体験するには、「小江戸」に行くしかないのである。この集客力は大きい。今後ますます、観光地としての人気は高まるだろう。

存在意義を失った「小京都」。本家のいない代替地「小江戸」。この勝負は、圧倒的な差をつけ、「小江戸」の勝ちである。

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2020年03月10日

とある下町食堂は、なぜ大盛り定食を430円で提供するのか?

大阪・京橋に、知る人ぞ知る食堂がある。とにかく安くて、ボリュームがあることで有名。“不思議な”という形容がピッタリくるほど、安く提供されている。

ある日の日替わり定食を紹介すると…。「エビフライ・チキンカツ・ビーフコロッケ・玉子フライ・サラダ・ご飯・味噌汁」。これで、430円。ひとつひとつがミニサイズというわけではなく、ごく普通のサイズである。

別の日の日替わりは、「まぐろ+はまち+あじの造り・チキンカツ・サラダ・ご飯・味噌汁」。これも430円。

あり得ない。どんな食材を使っているのかを疑ってしまうほど安い。

他にも、「うどん・そば 120円」「カレーライス 230円」「カツ丼・天丼 330円」「エビフライ定食 380円」「トンカツ定食 380円」……など。

なぜ、ここまで安くできるのか。というより、なぜ安くしているのか。

その答えは、この店の経営理念にある。というほど、難しいことではない。創業した先代の想いを守り続けているだけなのである。

戦争を経験し、苦労した先代が、「物のない時代だからこそ、みんなにお腹いっぱい食べさせて、喜んでもらいたい」と、この店を始めたのである。みんなが大変な時だから、少しでも役に立ちたいと願ったのである。

「人を喜ばせる」という商売人の原点を実践した人。その想いをいまも受け継いでいるのである。

有名になったことで、わざわざ遠くからやって来る人も多い。だが、その評価は低い。「美味しくない」「それなり」。

確かに、安くてボリュームのある料理を作ろうとすると、食材のレベルは多少落ちるかもしれない。安い食材を選んで仕入れなければ、安く提供することはできない。この店は、そこを割り切っている。客も納得の上で利用している。

失礼ながら、この地域は超下町と言っても良い。“リッチな食事”を望めない人は多い。だが、美味しいものは食べたい。なので、この店が流行るのである。

これは私の考えだが、「ボリュームは美味しさ」だと思っている。味そのものはそれなりだとしても、ボリュームがあって、腹いっぱいになれば、「美味しかった!」と思えるのである。

不況が続く中では、こんな店が必要なのである。救世主となる。こうした考えに共感した人が、暖簾分けをしてもらい、いまや数店舗の支店ができている。

利益を考えず、人助けのためにやっている食堂。もっともっと増えて欲しいと思う。

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2020年03月04日

“カッコいい職場”は、会社の業績を伸ばす!?

新潟にある刃物メーカーは、その技術の高さが認められ、海外からも注目されている。需要が多いため、海外にも営業拠点を置くほどである。

同社職人の技術が優れていることはもちろん、企業としての成長戦略にその秘密が隠されている。

企業が成長するためには、何が必要なのか。

「商品力」や「営業力」を思い浮かべるかもしれないが、それらを高めるのは誰なのかを考えなければならない。

すべては、「人」である。働く人を成長させなければ、企業としての成長も望めない。

刃物職人の世界は、いまだ3Kイメージである。黙々と地味に仕事をこなす。

当然、若い人は入って来ず、後継者不足で事業は終焉を迎える。

だが、このメーカーは違う。3Kをまったく感じさせない。

オフィス、工場、製造マシン、そして従業員のユニフォームが、“カッコいい”。

「黒」を基調にし、デザイン性に優れている。工場とは想像できないくらい、洗練されている。

若い人なら、こんな会社に憧れを抱くだろう。働くことが誇りに思える環境である。

見ためは重要。

お洒落でカッコいい職場は、やる気を生み出す。やる気は成果に繋がり、会社の業績となる。業績が伸びれば、給料が上がり、さらなるやる気となる。

「職人は見ためなど、どうでも良い」という、古い思考回路は捨てなければならない。見ためを変えるだけでも、会社の業績は伸びるのである。

posted by 佐藤きよあき at 15:04| Comment(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月03日

カニかまの“赤色”は「コチニールカイガラムシ」。

以前、スターバックスが、フローズンドリンクや菓子類に虫から抽出した着色料を使っていたとして問題になった。現在は使用中止を宣言し、他の着色料を使っているようだが。たまたまスターバックスが公にしたことで注目を集めたのだが、食品業界でこの“虫”を使うことは常識である。

“赤色”の着色料として、もっとも使用されているのがこの虫で、サボテンに寄生する「コチニールカイガラムシ」と言う。ネットでその画像を探してみて欲しい。その姿に、食欲は失せてしまうだろう。

ハムやカニかま、ジュース、アイスクリームなど、“赤い”食品に多く使用されている。これを知ってしまうと、誰もが口に入れることを躊躇するだろうが、よく考えれば、虫なので天然着色料なのである。

イナゴや蜂の子など、虫を食べる文化は元々あるのだから、それほど神経質になることもない。それよりは、石油から作られている合成着色料の方が、はるかに危険である。

そうは言うものの、確かに気持ち悪さは拭えないので、できれば植物に代えて欲しいところではあるが…。

もし、ハムやカニかまの“赤色”がなくなってしまったら、どうなるだろう? 火を通した肉の色でしかないハム。白いカニかま。決して美味しそうには見えない。おせち料理から、紅白のかまぼこがなくなったら?

世の中には“赤い”食品が多く存在するので、なくなると淋しい食文化になりはしないだろうか。

他にも、かき氷の「イチゴ」シロップには、この虫の着色料がよく使われている。こう書いてしまうと、小さな子どもを持つお母さんたちは「イチゴは食べちゃダメよ!」と言い出すだろう。あの、真っ赤で美味しそうなかき氷が消えてしまうかもしれない。

虫ではない何かを見つければ良いのだろうが、もっとも美しい色を出し、自然にあるものを探した結果が、この虫なのだろう。プロの結論なのだから、それ以上を求めることは難しい。他の手段となると、合成着色料になってしまう。

こうなると、「自然の虫」か「危険な合成物」かの選択しかない。

そのどちらも選択したくないというのなら、加工した食品を買わないことだ。「虫を使っているなんて、許せない」と言う人が結構いるが、ならば、すべてを自分で手づくりすることだ。

スーパーで売っている、安くて美味しい食品には、何らかの安い理由がある。そこをもっと勉強して、自分の眼を養うことが必要である。

庶民だから高いものは買えない、と言うのなら、あまり神経質にならず、バランスの良い食生活だけを考えれば良いのではないか。気にし過ぎては、生きていけない。

posted by 佐藤きよあき at 09:26| Comment(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする