2020年03月10日

とある下町食堂は、なぜ大盛り定食を430円で提供するのか?

大阪・京橋に、知る人ぞ知る食堂がある。とにかく安くて、ボリュームがあることで有名。“不思議な”という形容がピッタリくるほど、安く提供されている。

ある日の日替わり定食を紹介すると…。「エビフライ・チキンカツ・ビーフコロッケ・玉子フライ・サラダ・ご飯・味噌汁」。これで、430円。ひとつひとつがミニサイズというわけではなく、ごく普通のサイズである。

別の日の日替わりは、「まぐろ+はまち+あじの造り・チキンカツ・サラダ・ご飯・味噌汁」。これも430円。

あり得ない。どんな食材を使っているのかを疑ってしまうほど安い。

他にも、「うどん・そば 120円」「カレーライス 230円」「カツ丼・天丼 330円」「エビフライ定食 380円」「トンカツ定食 380円」……など。

なぜ、ここまで安くできるのか。というより、なぜ安くしているのか。

その答えは、この店の経営理念にある。というほど、難しいことではない。創業した先代の想いを守り続けているだけなのである。

戦争を経験し、苦労した先代が、「物のない時代だからこそ、みんなにお腹いっぱい食べさせて、喜んでもらいたい」と、この店を始めたのである。みんなが大変な時だから、少しでも役に立ちたいと願ったのである。

「人を喜ばせる」という商売人の原点を実践した人。その想いをいまも受け継いでいるのである。

有名になったことで、わざわざ遠くからやって来る人も多い。だが、その評価は低い。「美味しくない」「それなり」。

確かに、安くてボリュームのある料理を作ろうとすると、食材のレベルは多少落ちるかもしれない。安い食材を選んで仕入れなければ、安く提供することはできない。この店は、そこを割り切っている。客も納得の上で利用している。

失礼ながら、この地域は超下町と言っても良い。“リッチな食事”を望めない人は多い。だが、美味しいものは食べたい。なので、この店が流行るのである。

これは私の考えだが、「ボリュームは美味しさ」だと思っている。味そのものはそれなりだとしても、ボリュームがあって、腹いっぱいになれば、「美味しかった!」と思えるのである。

不況が続く中では、こんな店が必要なのである。救世主となる。こうした考えに共感した人が、暖簾分けをしてもらい、いまや数店舗の支店ができている。

利益を考えず、人助けのためにやっている食堂。もっともっと増えて欲しいと思う。

posted by 佐藤きよあき at 08:56| Comment(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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