2020年08月11日

「スターバックス」と「ドトール」の違いは何?

コーヒーチェーン店であるスターバックスとドトールの違いをご存知だろうか?

スタバは高くて、ドトールは安い? まずは価格の違いが浮かぶだろう。

では、味はどうだろう? スタバは美味しくて、ドトールは美味しくない?

そんなことはない。ドトールは、安くても充分に美味しい珈琲を提供している。

確かにスタバは、訓練を積んだバリスタが、こだわりを持って珈琲を淹れてくれる。その手間を考えると、価格が高くなるのは仕方がない。

珈琲豆の品質面でも、スタバのこだわりは評価できる。

だが、客がその違いを本当にわかった上で、飲んでいるだろうか。

スタバのカップにドトールの珈琲を入れて、客に出してみれば、その答えはすぐにわかる。

よほど舌が敏感で、スタバに心酔している人でもない限り、ドトールの珈琲だとは気づかない。

日常的にスタバを利用している人は、味の違いで判断してしまうので、「別のコーヒーだ」と言って、試してもらえば、違う店のものだとはわからない。

こうした実験は、過去に何度も行われているが、客の舌というものは、結構いい加減なものである。

プロであるバリスタがいて、店も高級感があり、価格もそれなりに高いスタバを“美味しい珈琲店”と感じているだけなのである。

感じた結果、「ゆったりとした空間で、本物の味を楽しみたい」と思う時に、スタバを利用している。

ところが、それは客が持つイメージでしかない。つまり、舌の肥えた客がスタバに集まるわけではない、ということ。

ドトールの珈琲でも、店の雰囲気を高級感あるものに変えて、“プロっぽい店員”を演出すれば、高くても客は納得して利用してくれる。

ただし、ドトールの役割はそんなところにはない。また、目指してもいない。“気軽に、安くて美味しい珈琲を楽しんでもらう”ことにある。

なので、店や店員に金を掛けるわけにはいかないのである。すなわち、客層が違うということ。

極端な言い方をすれば、お金があるか無いか。つまり、価格の違いでしかない。客にとっては、同じ珈琲なのである。

同じ珈琲なのに、その“売り方”によって、価値が変わってくる。

当然、プロ側からすれば、「まったく違う商品だ」と言うだろうが、客にはわからないもの。

客が求めているのは、珈琲ではなく、珈琲を楽しむ“時間”なのである。

時間をどう演出するかが、店の“売り”を決定するのである。

結論としては、スタバとドトールには、客が持つイメージほど、味に差はないということ。あるのは、売り方の違いだけである。

posted by 佐藤きよあき at 07:26| Comment(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月04日

「ドクターイエロー」式マーケティングのすすめ。

「ドクターイエロー」をご存知だろうか?

新幹線における、
軌道・電気設備・信号設備を検査するための車両で、
車体のカラーであるクリームイエローから、
その名(愛称)がついている。

その車体を眼にすることはほとんどなく、
偶然に出会うしか見る方法はない。

その理由は、旅客車両ではないため、
当然時刻表には運行予定が記載されていないからである。

また、走行予定も非公開なので、
見たいと思っても見ることはできない。

よって、鉄道マニアにとっても、憧れの存在である。

これまでの目撃情報などをもとに、
次の出現場所・時刻を推測し、
ひたすら待っているしかないのである。

だが、時に運行計画がどこからか漏れていて、
マニアが集まっていることもある。

その中には、鉄道マニアではない人の姿も多い。
小さな子どもや女性である。

他の車両に興味はなくとも、
「ドクターイエロー」は特別な存在として、
“可愛い”という認識を持っているようだ。

鉄道に興味のない私でも、
最初に見掛けた時は、なぜか興奮してしまった。

やはり、「滅多に見ることができない車両だ」
ということだけでも、
人は興味を持ってしまうものなのだろう。

人は、手に入らないものを欲しがる。
人は、見えないものを見たがる。

絶対的な理由などなく、本能とも言える心理で、
「ドクターイエロー」に惹かれるのである。

この心理は、モノを売るための
マーケティングにも活用されている。

「限定品」「先着○名様」「抽選で」……。

こうした言葉を聞くと、人はソワソワし始める。

“どんなものだろう?”“人気があるのか?”
“早く行かなければ!”“買った方が良いのでは?”

本気で欲しいと思っていなくても、
なぜか手に入れたくなるのである。
冷静でいられなくなる。

「浅はかだ」と冷静に思う人もいるだろうが、
ほとんどの人は、無意識に心惹かれてしまうものである。

本能のままに“欲しい”と感じて、行動する。

この行動を否定するつもりはない。
それも人生の楽しみ方ではないかと思う。

店に行列ができるのも、そんな人たちが、
消費者の大多数を占めているからである。

ビジネスをする立場で見ると、
消費者が“欲しい”と強く思う仕掛けを
作れば良いのである。

「その店でなければ…」
「その日、その時間でなければ…」
「いつ登場するかわからないが…」

など、手に入りにくい状況を作り出せば良い。

だが、単に“売り惜しみ”をしても、客にはバレる。
本当に価値のあるものを提供しなければならない。

「ドクターイエロー」は、JRの“戦略”ではないが、
ファンを魅了する存在感を持っている。

手本とすべきは、その「希少性」「神出鬼没」。

これを見習うことで、消費者に飽きられることのない、
長寿命の商品を生み出すことができるのである。

posted by 佐藤きよあき at 14:19| Comment(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月28日

実は儲けている! サビれた個人商店の裏側。

世の中には、客が来ていないのに、いつまでも潰れない個人商店がある。営業しているのかどうかさえ、中に入らなければわからないほど、暗い商店がある。

どうやって稼いでいるのか? 近隣の住民でさえ知らない。

年金暮らしの高齢者が暇つぶしで開けているのか、と悪態をついてしまうほど、潰れない理由が浮かばない。

実は、こうした店に共通する“稼ぎ方”がある。

たまに電話に出て、たまに出掛けて行く。一時的に忙しくなる時もあるが、それが過ぎれば、ほとんどは店番で1日が終わる。非常に羨ましい商売である。

その“稼ぎ方”とは……

「学校納品」である。

学校から注文が入ったり、定期的な納品に対応していれば、まとまった利益が確保できる。生徒数の多い学校との取り引きができれば、たった1本の電話で、多額の収益が生まれるのである。

最初に契約を取りつけるまでは苦労したかもしれないが、その後は何年も安定経営が約束される。

不思議なことに、学校と商店との取り引きは随意契約で、競争入札がほとんどない。公立校なら、すべての近隣商店にチャンスが与えられるべきなのだが、不公平な取り引きが長年続けられている。

しかも、学校はあまり価格交渉をせず、言い値で納品させている。商店にとっては、実に有り難い客である。

そんな“稼ぎ方”を手に入れている業種としては、服屋(学生服)、スポーツ用品店(体操服)、金物屋(掃除道具)、書店(教科書)、写真店(出張記念撮影・卒業アルバム)、文具店(文房具一式)、パン屋(給食)などがある。

誤解のないように書いておくが、「学校納品=儲けている」わけではない。地域や学校の規模、学校の方針などによって、「学校納品」していても、さほど儲からない場合もある。

だが、規模の大きな学校と取り引きすることで、一般客など来てもらわなくても、充分に儲かっている店があることは事実である。

サビれたように見える個人商店は、店頭ではなく、裏で儲かっているので、店や陳列商品に気を遣わなくてもよくなり、サビれた雰囲気を醸し出してしまうのである。

儲からなくてサビれたのではなく、儲かっているから、店に手をかけなくなったのである。

posted by 佐藤きよあき at 07:52| Comment(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月21日

コンビニ各社がシニア店員の採用を積極的に行う、もっともな理由。

いまコンビニ各社は、
店員へのシニア層の採用を積極的に行っている。

政府が訴えている「高齢者の雇用促進」ではなく、
シニア層の“能力”を買っての採用である。

セブン‐イレブンは、年齢無制限で、
労働日数・労働時間も相談に応じている。

なぜ、そこまでしてシニア層を採用するのか。

それは、「コンビニが社会で果たす役割」にある。

言い換えれば、
社会から求められていることに応えるためには、
シニア層の力が必要なのである。

シニア層は社会経験が長く、
常識や人との接し方を知っている。

SNSで暴走するような若い店員のようなことはしない。

学生やフリーターと比べると、
勤務態度が良く、遅刻や欠勤も少ない。

世代的に真面目な人が多いので、
自分の与えられた仕事・役割をきちんと理解している。

それが、若い店員にも良い影響を与えているという。

だが、これらはシニア層の“素質”であって、
“能力”ではない。

コンビニが期待する能力は、もっと他にある。

コンビニではいま、高齢者の利用が増えている。

遠くのスーパーより、近くのコンビニ。

店の規模や利用できるサービスが、
高齢者にとって非常に便利なのである。

スーパーは大きくて疲れるが、コンビニは小さい。

すぐに食べられる弁当や惣菜、
小さくカットされた野菜が売られている。

荷物を送ることも公共料金を支払うこともできる。

そんな便利さに気づいた高齢者が、
日常的に利用するようになったのである。

こうなると、高齢者にとってコンビニは、
生活に不可欠な存在となってくる。

コンビニとしても、望まれているのなら、
それに応えなければならない。

そこで始まった取り組みが、
ひとり暮らし高齢者への買い物支援や
弁当の配達、移動販売などである。

この取り組みに必要なのが、シニア店員なのである。

若い店員でも良いのだが、
高齢の客とのコミュニケーションが難しい。

シニア店員なら、
同年代や年配者の気持ちを理解しやすい。

また、地元の人間なら、地域の実情にも詳しいので、
客とのコミュニケーションが取りやすい。

人と人との繋がりを作りやすいので、
地域密着型の店舗として、客にも愛される。

今後、コンビニに求められるのは、
「地域のインフラを担うこと」である。

地域の中心的存在となって、地域社会を守っていく。

その“機動力”となるのが、シニア店員なのである。

posted by 佐藤きよあき at 14:20| Comment(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月14日

生き残る、80点の店。

先日、なにげなく入った、チェーン店の「とんかつ屋」が、“なかなか良かった”ので、紹介しよう。

店舗の造りは、完全和風。綺麗な白木の太い梁や壁。明るい照明。広い通路。店員の声も明るく響く。「おすすめランチ」を注文した。

店内・テーブル・メニューを観察していくと、なかなか凝った演出をしている。

■「七つのこだわり」というコンセプト。

この店は「七つのこだわり」というコンセプトでアピールしている。肉のこと、米のこと、キャベツなどの野菜、お茶、みそ汁、パン粉、たれ。

それぞれのこだわりを1つずつ筆文字と絵で表現し、70〜80センチ角の額装にして、壁にかけている。これは、客の誰もが読んでしまうだろう。メニューにも書かれている。

■とんかつの下に網を敷く。

大皿にキャベツの千切りを盛り、とんかつを置いているのだが、とんかつの下には、半月型の金網が敷かれている。とんかつの油を落とすためである。

油がしっかり切れていないと、サクサク感がなくなり、ベトッとしてしまう。下に落ちた油がキャベツに流れてしまわないか、と考える方もいるだろうが、キャベツに油が混ざったところで、ドレッシングをかけるので、わからなくなる。

■ごはん・キャベツ・しじみ汁おかわり自由。

この3つのおかわりが自由である。ごはんのおかわりはよくあるが、みそ汁やキャベツはあまりない。

キャベツは、気候に左右され、価格変動が激しい場合があるので、経営面から見ると、おかわりは難しいところである。そこをあえてやっているのが、この店のうまいところだと思う。

もともと、皿に盛っているキャベツは量が多いので、それほどおかわりをする客はいない。した人がいても、それほど損失はない。

それよりも、客全員に「キャベツのおかわり自由」だというサービスをアピールできていることに感心する。実際にはおかわりしなくても、サービスを受けている嬉しさが残る。

そして、一番のポイントは、「しじみ汁」のおかわりである。単なるみそ汁では、客は喜ばない。貝類の価格が高いことを客は知っている。それをおかわりできるのだから、満足ポイントは高い。

■「漬物」と「なます」のサービス。

1グループにつき、「漬物」と「なます」が1皿ずつサービスとして出される。「こちらは、サービスとなっております」と店員が言いながら、出している。

サービスとして2品も出されると、客は喜ぶ。「気が利いているねぇ」となる。これがまた、美味しい。

■たれに使うごまは、客が擦る。

これは、飲食店がよく使う手だが、「客に何かをさせる」手法である。この店では、たれと合わせるごまを客に擦ってもらう。

たれの器兼すり鉢で、自然木そのままのすりこぎで、ごまを擦る。客は、こういうことを喜んでやる。これから食べるという楽しさを盛り上げるのである。

いっしょに来た人と“これくらい擦るのかなぁ”などと、会話が広がる。

■キャベツのドレッシングは、2種類。

普通は、前もってかけてくるか、1種類を置いているだけだが、この店では、「和風ごま」と「青じそ」の2種類を置いている。

一方が好みでなければ、もう一方を使えば良い。半分ずつかけることもできる。ここにも、食べる楽しさの演出がある。

■変わったお茶を使っている。

「えびす茶」というお茶が出される。エビスグサという植物の仲間を使ったものらしいのだが、香ばしく、少し苦味があり、それでいて強い主張はなく、なかなかイケる。

クセがありすぎると、客はイヤがる。ここでは、見たことも聞いたこともない初めてのお茶を飲む、という体験がある。

■生パン粉を使っていることを見せる。

客から見えるところに、たくさんの大きな食パンが積まれている。和風の店で食パンがあると、一瞬「えっ!」となるが、コンセプトを読めば納得する。こだわりの証明なのである。普通なら、見えないところに置いてしまうのだが。

どうだろう? なかなか演出のウマい店である。

店内の雰囲気をはじめ、とんかつそのものも、たれの味も、しじみ汁も、キャベツとドレッシング、漬物、なます、お茶、どれもがよく考えられており、満足できる美味しさだった。

では、どうして「なかなか良かった」なのか。「80点の店」なのか。

●店頭から、店内がよく見えない。スモークガラスで、よほど近づかなければ、店内の様子をつかめないので、客としては不安になる。

●ショーウィンドウが、ファミレスのようで、安っぽく感じる。サンプルは悪くないのだが、プライスカードのデザインや見せ方の問題だろう。

●「おすすめランチ」という言葉が、店の雰囲気と合っていない。「お昼のおすすめかつ膳」などとする方が、和の雰囲気を高める。

●店員が少ない。その時だけだったのかもしれないが、店員が少ないと、おかわりする際に、大きな声で呼ばなければいけない。

●メニュー表が、ファミレスそのもの。ラミネート加工したものである。もう少し高級感、和風が欲しいところである。

●塩を置いていない。擦ったごまとたれで食べることが、店のこだわりかもしれないが、揚げ物には塩が不可欠。素材の味が一番よくわかるからである。

●これは私の好みかもしれないが、肉がやわらか過ぎる。美味しいのだが、少しもの足りなさを感じる。歯応えのある方が、とんかつを食べている実感がある。そういう人は、多いと思うが。

このような問題点があるので、私は80点とした。だが、問題を差し引いても、それ以上の満足感があるということを書きたかったのである。つまり、充分に繁盛店として、やっていける店だということ。

“なかなか良い”でも“80点”でもいい。客が満足する仕掛けがあれば、そこそこ繁盛する。あとは、80点で満足せず、100点、200点をめざすことである。

これは、飲食店に限ったことではない。どんな店でも、客を楽しませる仕掛けづくりが大切なのである。

posted by 佐藤きよあき at 08:06| Comment(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする